このあいだ、タイミングがずれて『栞と紙魚子の百物語』を書きそこなったので、今回は早めに『バイオの黙示録』を。諸星大二郎の最新刊。集英社、800円。
久々にSFっぽい話で、ある意味、諸星さんが原点に回帰したような作品といっていいんじゃないか。
デビュー作(だよね、たしか)の『生物都市』からこっち、諸星ワールドのポイントになる作品のキーワードは、たぶん「まざる」だと思う。ゲーム「塊魂」をはじめて見たとき、「こりゃ諸星ワールドだ」と、思ったのは、文字どおり「まざる」からだろう。
その「まざる」を久々に正面からとりあげているのです。
とはいえ、ここ数年の「達観したような」軽さもふくまれてるし、まざることの不条理さが薄い感じはするし、ストーリーづくりもある意味でそつがなく、やっぱり老境というか熟練期にはいってきたのかなという感じ。
なんというか、「まざってしまう」んじゃなく、淡々と「まざる」というか。恐怖感も、たぶん恍惚感もないのですよ。いや、だからこその不条理と考えるのかな?
このへん、かつてのJ・G・バラードのある種の作品を彷彿させます。『沈んだ世界』あたり。
ここ数年は『栞と紙魚子』や『グリム風』にすっかりなじんでいたので、この作風はすこし懐かしかったかも。
ついでに。
話はぜんぜんちがって『ポニョ』なんですが、友達の知りあいの方のブログに、すごいレビューがありました。これはブログにもメモしておかないと。「てすかとりぽか」さんの「『崖の上のポニョ』クトゥルー神話」というエントリ。
これは卓見です。つか、そう思う人が多いようで。
