時空をこえて四半世紀以上、SF者にはなぜか愛されつづけるマンガ家、諸星大二郎の最新刊『私家版魚類図譜』を、ようやく読んだ。

講談社 1100円くらい
あれま、講談社だったのか。諸星作品を講談社からっていうのは、きわめてめずらしい気がする。まあ、このシリーズ第一弾の『私家版鳥類図譜』も、同じ版元なんですけどね。気がつかなかった。
閑話休題。
このところ、諸星さんは多作である。デビュー以来の35年から見ると、たぶん多作といっていいと思う。グリム系の『トゥルーデおばさん』なんかのシリーズもつづいてるみたいだし、『ねむき』連載の「栞と紙魚子」シリーズはどうなったのかな? それと、この「私家版」系列。
私家版はこれでおしまいみたいなことを、「あとがき」で書いておられるけど、いやわかりません。続編期待。(^^)
それにしても、なぜ諸星作品はSF者に無条件に支持されるんだろう? もちろん、ご本人がSF者だという、厳然たる事実はあるけど。
いまたわむれに調べたら、SF作家クラブには、はいってないんだね。このへん、吾妻さんや、竹宮さんも同様(萩尾さんはメンバーだった)。すこし不思議。
また閑話休題。
この本、出たのを知って、amazonに注文したら、同じ日にとーこちゃんが買って帰ってきちちゃったもんで、発売日に家に2冊あったといういわくつきの作品。そのせいというわけでもないけど、なぜか読むのを1日のばしにしてきたのです。
ところが、読んでみると……なんだかあったかくて、やさしさを感じる作品だったのですよ。これは意外。
もっと辛辣に考えると、最近、シチュエーションがパターン化しているとか、ゆるいとか、そーいう見方をすることもできると思うけど……
そうではないと思う。円熟期を迎えてるのです、諸星さんは。
作品をそのまま読んで、あれこれ考えたり、解釈をひねったりしないで感じたこと。作風に温かさがくわわった。そーいう印象であります。
この人魚姫2部作には、愛があふれてるんですよ。
いままでの諸星作品にはなかった、ストレートな表現。いや、いままでも、いっぱいあったんだけど、作者がすこし照れくさくて、ナナメから描いていたぶん。
それがするりと、おだやかに表現されたような気がしますです。はじめて。はい。
諸星大二郎さん、まだ進化してるな〜。これはすごいことです。
